独特の感性を持った作家だ。いま1番のご贔屓でハマっている。
作家には2パターンあって、面白い物語を書く作家と、面白い文章を書く作家に分かれる。今村さんは後者。
大胆な展開や大きな事件は起きない。そこに物足りなさを感じる読者もいるだろう。最近の小説は映画かドラマのシナリオみたいで、文体から湧き出る魅力が少ない。彼女の作品は日常でありそうな何気ない出来事を通して、人間の不穏な心理を巧みに表現する筆力がある。
遅ればせながら芥川賞受賞作品を読んでみた。特異な雰囲気を滲ませる。とにかく自分好みの作家である。これからも追い続けたい。