人々の想像を超えるものを創出するソニー。好きなブランドの1つだ。革新的な製品を次々と生み出してきた歴史。特にカセットケースと同じ小ささのウォークマンが発売された時の衝撃は、今でも忘れられない。
そんなソニーも一時勢いを失い低迷する。苦境のなか社長に就任した平井社長。本書の内容はソニーを再建秘話というより、彼の生い立ちや思想を綴った『私の履歴書』といったところ。
難題を人任せにするリーダーには、人はついてこない。痛みを伴う難しい判断は、自らメッセージを伝える。方向を決めて、決めたことに責任を持つ。知ったかぶりはしない。
帰国子女で海外生活が長く、発想は日本人らしくない。元々はソニーミュージック出身で、社長就任時には風当たりが強かったのは想像に難くない。
任天堂との提携破綻から、大黒柱となるPlayStationが誕生した逸話に、伝統的な精神を垣間見る。