浅草駅から北へ向かった浅草6丁目。閑静なエリアだが、江戸時代末期は芝居町で、浮世絵にもなっているほどの一大繁華街だった。
天保改革で点在していた芝居小屋がこの地に集められ、明治まで興行が行われていた。過去の情景に思いを馳せながらの散策は楽しい。
しかし何度来てみても、街にその面影は感じ取れない。今は記念碑や石碑だけが、当時の賑わいを伝えている。
猿若とは変わった町名だ。江戸歌舞伎の創始者とされる猿若勘三郎の名にちなむという。
猿若三座と称された、中村座、市村座、河原崎座(森田座)が特に規模が大きかったようだ。歌舞伎を観に多くの人が訪れたことであろう。
当時のメインストリートだった場所に、昭和レトロなパン屋さん「テラサワ」がある。実は隠れ名店で、ひっきりなしにお客さんがやってくる。
菓子パンやサンドイッチも並ぶが、名物は生クリームコロネ。今日のおやつに買っていく。柔らかなパンと、甘め抑えめのクリームは懐かしい。素朴な味。