ボクらの頃の就職活動はもっと閉鎖的だったな。ここに描かれる若者たちとはかなり異なる。そんな気持ちになった。
SNSが身近で当たり前の現代に生きるデジタルネイティブ世代。ボクらの学生時代とは大きく変化した点だ。SNSは便利なコミュニティツールであり、時に相手を傷つける凶器ともなる。そして虚像を作り上げる。
若手作家らしい現代的な文章で、SNS上のやり取りを取り入れた構成も新鮮である。しかしストーリーは会話中心の退屈な展開。こりゃ参った。これが直木賞受賞作とは。
何度も挫折しそうになる。途中で投げ出したくなる気持ちを抑え読み続けると、後半から俄然面白くなった。やー、最後まで読んで良かった。ラストまでの展開はお見事。朝井リョウって何者なの?っていう才能。
コロナ禍ですっかり冷え込んだ就職市場。今年になって新型コロナ感染症5類移行と共に、急速に経済は回復。今や求人倍率はバブル期に迫る勢いだという。
あちこちで人手不足が叫ばれている。この小説は就職について考慮する一翼を担う。