東京テアトルの株を保有している。不動産バブルなのにも関わらず株価は振るわない。それでも売却せず持ち続けているのは、株主優待で映画鑑賞招待券があるからだ。
映画館は限られている。希望する映画が観れるわけではないから、普段は興味のない作品を選ぶこともある。予備知識がない分、掘り出し物に当たった時は嬉しくなる。
アメリカのインディペンデント映画界で高く評価されるケリー・ライカート監督。大学で教壇に立つ才人だ。彼女の作品は初めて観る。
西部開拓時代のアメリカが舞台。アメリカンドリームを求めて未開の地に移住した2人の男の友情を描く。
主人公の作るドーナツは大人気に。原料は夜中に牧草地に忍び込み、牛から搾り盗んだ牛乳。見つかれば命はない。スローペースからスリリングな展開に変わる。リスクを冒さないと成功はない。驚きのオープニングから余韻の残るエンディング。罪を責めることなく幕を降ろす。
ロケ中心のカメラが撮る、大自然の静寂と暗闇が印象的。心優しい主人公は、牝牛に話しかけながら乳搾りをしたり、野花を生けるたりする。何気ないシーンがとてもいい。
