もう10年前になる。「かんだやぶそば」の火災には言葉を失った。そば屋巡りにハマっていた時期で、突然の閉店はショックだった。
東京都の歴史的建造物に指定された数寄屋造りの建物は焼失し、その後新築された。創業1880年(!)、江戸前蕎麦御三家(藪、砂場、更科)のひとつ、藪蕎麦の原点として知られた老舗だ。復活した時は歓喜した。
呑兵衛の友人から教授された蕎麦前の流儀。お銚子を傾け板わさや焼き海苔をつまむ。最後はそばで〆る。これぞ江戸っ子の粋。
東京のそば屋のボリュームが少ないのは、〆にサッと食べるものだから。食事ではないんで小盛りなんですね。
緑色かかったそばが特徴。清涼感を出すためクロレラが練り込まれているとか。今日は長芋のとろろをつける。
広い店内に響く声。「いらっしゃぁーい」「ありがとう存じますぅ」独特の言い回しに老舗の歴史と矜持を感じる。
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