数年前の休日のこと。新宿駅から松本駅へ向かう特急あずさ内。隣に若い女性が座った。
彼女はおもむろにシート前のテーブルを下ろす。そこにホームで買ったのであろうカップのアイスクリームを置き、スマホで写真に収めた。
出立ちからしておそらく一人旅であろう。信州旅行の記録をしていたに違いない。ブログとかインスタとかにアップしていたかもしれない。勝手な想像だけど。
カップアイスはスジャータのバニラだった。High Quality と記載されたちょっと高級感のある紺色のパッケージ。JR内でよく宣伝をしていて気にはなっていたけど、食べたことはなかった。
今日、特急あずさに乗っていたら、丁寧な言葉で車内販売の利用を案内する車両放送が流れた。新幹線の車内販売は終了したと報道されたけど、特急はまだ残っているんですね。
スジャータのアイスクリームも販売されている。応援したい気持ちもあって、販売員さんが通路に来たので呼びかける。放送の声は優しい感じで、おばあちゃんかと思っていたら、実際は若い男性で困惑した。
「さっきの放送を聞いて食べたくなった」「放送を聞いていただきありがとうございます」きっと宣伝した甲斐があったと喜んでくれただろう。
カチカチで溶けるまで5分くらい待つ。北海道産生クリーム使用の旨味あるバニラアイス。これが女性一人旅の味かとしみじみ思う…なんのこっちゃ。
効率化やコストを考えれば、対面販売は時代遅れで廃止は当たり前だろう。ただ人との会話は希薄のなか、利用している身としては旅の思い出と共に残るでしょうね。