御茶の水のホテル内にあるジャズ喫茶店は、お気に入りの空間。広く落ち着いた店内をJBLスピーカーのオリンパスが大音量で響く。ここでの読書は至福の時である。
ジャズを浴びながら読了。余韻に浸って店を出ようとしたら、ビル・エヴァンスの『ワルツ・オブ・デビイ』が流れる。マスターのべたな選曲に「わぁ、これを聴かなきゃ帰れないよ」。滞在約1時間半。コーヒー1杯で長居してごめんなさい。
今回読んだのは本屋大賞で話題になった作品。女の子の顔のバトンが表紙のデザインだ。バトンは複数の“親”たちでリレーされる。真面目な森宮さん。自由奔放な梨花。おおらかな泉ヶ原さん。ここに登場する“親”たちは皆いい人だ。それぞれの家族感や愛の形がある。
自分のために生きていくのは難しい。何をしたら満たされるのかわからないから。自分じゃない誰かのために時間を費やす幸せ。人生において自分よりも大切なものを見つけること。心に沁みます。
上白石萌音ちゃんの解説もいい。映画化されているのでそちらも観てみたい。
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